Japan

ESUR 2017

『第24回 European Society of Urogenital Radiology (ESUR) 学会に参加して』           京都大学医学部附属病院放射線診断科 木戸晶先生

 今年のESURの学会は9月14日~17日、ポーランドのグダニスク(Gdansk)で開催されました。今回は宇都宮で開催された日本磁気共鳴医学会大会(9/14-16)と重なってしまい、また、Gdanskという馴染みのない場所でもあり、日本や韓国などアジアから参加された方は非常に少ない様子でした。学会は講演が主体で2-3のホールで行われ、前立腺のワークショップも同時に開催されており、200人以上は参加されていたのではないかと思います。ESURのannual meetingはホームページの記載からは1998年から始まっているようです。私が初めて参加したのは、2003年でしたが、その時の会場は大学の講義室1か所で参加者は100人には到底満たなかった印象があり、隔世の感があります。

 ESURは泌尿生殖領域に限られていることもあり、RSNAやISMRMに比べて馴染みのない方も多いかと思います。日本では翻訳された造影剤ガイドラインや前立腺のPI-RADSに関連してこの会の名前を見聞きされることが多いのではないかと思います。このようなガイドラインは、学会会員の中で各領域を専門とするメンバーから成るcommitteeやworking groupで作成されています。詳細は、HPにある通りで、Contrast Media Safety ad hoc committee, Female Pelvic Imaging working group, Prostate MRI working group等、8つのグループがあります。私はFemale Pelvic Imaging working groupに入れて頂いていますが、このグループからは昨年、内膜症ガイドラインが完成し、European Radiologyから出されたところです。長年内膜症の研究に携わってこられたDr. Bazotの渾身の論文となりました。ガイドラインの内容については、欧米と日本の様々な事情・背景の違いから日本でそのまま適応できないところはありますが、そのような事情を会議の中で驚きと共に感じることもしばしばです。今回の学会期間中に開かれた会議では、子宮体癌に関しての新たな改訂ガイドラインの内容について主に話し合われました。

 学会と同時に開催されているのが〝Urogenital radiology diploma″と呼ばれる欧州における泌尿生殖領域を専門とする画像診断医の資格の試験です。臨床、研究における一定の経験と業績の他、level Ⅲと呼ばれる口頭と筆記試験があります。この試験問題の作成もcommitteeの仕事です。

 学会の内容としては、やはりPI-RADS作成を先導されているDr. Barentzの話が印象的で、現状の主たる問題点として、すべてのRadiologistが適切に評価できるわけではない、ということが提起されました。耳の痛いメッセージです。このため、ESURだけでなく、RSNAやその他、北米・欧州を主に活発なトレーニングコースが開催されています。他、前立腺に関しては画像では前立腺癌特異的膜抗原を利用した68Ga-PSMA PET/CTの話題、癌の検出についてPSAの前駆体であるpro-PSAを取り入れたPHI(Prostate Health Index),4K SCORE、分子診断(molecular diagnosis, MDX)が紹介されており、如何に生検せずに診断するかについて研究が重ねられている様子が窺われました。

 規模は小さな学会ですが、同じ領域を専門とする人に新たに知り合えたり、じっくり話のできる場所です。来年はバルセロナで開催、磁気共鳴学会等と重なっていませんので、是非、参加ください。

 

写真1 会場前。ホテルに隣接したカンファレンスセンターで開催されました。

 

写真2 会場はバルト海に面した海岸に建っています。夏は白砂の砂浜が続くリゾート地で賑わうようですが、今は既に気温15度と秋半ばの様子でした。  

『ESUR Overview』 昭和大学医学部放射線医学講座 後閑武彦先生

 2017年9月14日から17日にかけて、第24回ESUR2017がグダニスク医科大学放射線科のMichal Studniarek教授の下、ポーランドのソポトで開催されました。

  ESUR(European Society of Urogenital Radiology)は、1987年にデンマ-クで開催された“First Copenhagen Symposium in Uroradiology”を前身とし、泌尿生殖器領域の画像診断とIVRの発展並びにこの領域のヨ-ロッパにおける研究と教育の促進を目的とする学会です。会は通常、秋にヨ-ロッパの各都市で開催されますが、私は2005年に中欧スロベニアでのESUR2005に講演のため渡欧して以来、時々出席しています。2005年以降の開催地を挙げると、2006年はエジプトのCairo、2007年には米国のFlorida(米国のSAR:Society of Abdominal Radiologyと併催)、2008年はドイツのMunich、2009年はギリシャのAthens、2010年はベルギ-のBruges、2011年はクロアチアのDubrovnik、2012年は英国のEdinburgh、2013年はトルコのIstanbul、2014年は米国のBoca Raton(SARと併催)、2015年はデンマ-クのCopenhagen、2016年はフランスのBordeauxです。ESUR開催地への日本からのアクセスは必ずしも良くはありませんが、日本人が訪れる機会の少ないヨーロッパの都市を訪問することができるというチャンスでもあります。

  今回の開催地であるソポトはバルト海随一のリゾ-ト地で、ポ-ランドのみならずヨ-ロッパ各地からも多くの観光客が訪れる都市ということで賑わっていました。滞在時は既にコートが必要なほど肌寒く、もう少し早い時期に訪れることができれば、過ごしやすさを体感できたのではないかと思われます。

  今回のESUR2017のプログラムでは泌尿器・産婦人科領域の画像診断を中心に有意義な発表・講演があり、4日間でこの領域の知識を整理することができ、最新の話題にも触れることができました。造影剤のESUR Guidelinesはご存知の方も多いと思いますが、造影剤を安全かつ適切に使用するための啓蒙及び研究はESURが特に力をいれているものの一つです。ガドリニウム製剤は15日(金)、ヨ-ド製剤は16日(土)にLunch Symposiumで講演があり、会場は満席状態でした。その中にはESURにおける委員会の成果の講演もあり、その内容を委員会のメンバ-の一人であるBertolotto氏がわかりやすく解説していました。これはEuropean Radiologyの2017年8月号に“Iodine-based contrast media, multiple myeloma and monoclonal gammopathies: literature review and ESUR Contrast Media Safety Committee guidelines”として掲載されていますので、興味のある方はご覧下さい。

  ESUR2018は来年の9月13日から16日にかけてスペインのBarcelona で開催されます。サッカ-ファンには待望の開催地ではないでしょうか。参加を希望される方はESURのホームページ(http://www.esur.org/)をご参照下さい。

  

会場であるSheraton Sopt Hotelから臨むバルト海        lunch symposium (contrast media)の様子