Japan

SCMR 2017

『SCMR2017に参加して』  名古屋大学大学院医学系研究科 新規低侵襲画像診断法基盤開発研究寄付講座 竹原康雄先生

 2月1日から4日まで米国ワシントン市で開催されたSCMR2017に参加した。今年は記念すべき20周年とのことである。 会場は同市郊外にあるGaylord National Resort & Convention Center。ホテルと会議場と遊園地の巨大複合施設で、家族連れにはうれしい場所であるが、もちろん家族の同伴は無しである。会場は、巨大なガラス張りのアトリウムを有し、アトリウム内に庭園や噴水、土産物屋の2階建て木造家屋が散在しているという、建築物としても興味深い場所であり、waterfrontの建築物らしく、白と青を基調とし、海洋、航海をモチーフにした装飾やデザインを取り入れた、新しい建築物であった。唯一の問題点は、空港からタクシーで50分という交通の便の悪さだろうか。

 さて、SCMRの最近のトレンドは定量性の追究ということだろうと思う。私は今回、Normal ranges and standardized protocolsというinvited lecture sessionの中で4D FLOWのquality controlという演題名で、15分間の講演を求められた。初日に会場の下見をしたところ、会場には5,6人しかいなかったので、たかを括っていた(あとで聞いたら、テクニシャンの教育講演であったとのことで、どうりで心臓は4つの部屋に分かれますなどと演者が言っていて変だなあと思った)のであるが、本番は、立ち見が出るほどの盛況で、久しぶりの大勢の前での講演は緊張した。4次元流速測定の意義とそのvalidationの重要性について述べた。4D FLOWの画像はstreamlineやparticle traceなど3次元の美しい画像に目を奪われることが多いのであるが、その裏付けがきちんとなされているかどうかは、得られる情報は不明確なままであり、ファントームスタディ、computational fluid dynamics (CFD)、conventional 2D PC cine、doppler US等の他のmodalityによるvalidationが是非必要だということを話した。T1、T2値等、定量性の議論が高まっている中で、定量はいいが、その信頼性はという段階に議論がきているのだろうと思う。こうした、定量性、再現性への関心の高さが反映されているものと思われた。私のグループでは4D FLOW研究に本腰を入れてきているのであるが、これまで4D FLOWに関する発表はスタンフォード大学やウィスコンシン大学、フライブルグ大学、ノースウェスタン大学といった常連からの発表が多かったが、今回は、新規参入の施設からの報告を多く目にした。また、4D FLOWの流体のポストプロセッシングアプリケーションを開発するベンチャー企業も数多く新規参入していることがわかった。私が新たに会社名を耳にしたものだけで4社あった。4D FLOWの成否は後処理アプリケーションの性能に依存する。その需要を反映しての参入であろうと思われる。

  さて、3年に一度、SCMRはEuroCMRと合同で開催され、次回はちょうどそれに当たり、2018年1月31日から2月3日、開催地はスペインのバルセロナである。とても魅力的な開催地であり、多くの参加者が訪れることであろう。

 

1) 学会場から巨大アトリウムを通して湾を望む     2) walk through poster

3) registration

『SCMR2017に参加して ~小児循環器医の視点~』                         東京女子医科大学 循環器小児科 高橋辰徳先生

 2017/2/1~2/4、アメリカワシントンDCで開かれたSCMR 20th annual scientific session及び1/31からのSCMR/ISMRM Co-provided workshopに参加しました。私は小児循環器の臨床医であり、臨床の間隙を縫って心臓MRIに携わるようになってまだ1年にも満たない初心者でありますが、多くの先生方が心臓MRIの世界へ、そして世界の舞台へと飛び込んで行くひとつのきっかけになればと思いPCに向かっております。

 Congressの内容でまず印象的だったのが、序盤のworkshopの1/3の時間が”Diffusion Tensor Imaging(DTI)”についてのレクチャーに割かれていたことで、「CMRのフロンティアはここだ!」という熱い情熱が伝わってきました。拡散強調画像と言えば脳の領域では脳梗塞の早期発見や神経線維の走行の描出に利用されていますが、技術革新により複雑で精緻な心筋線維の走行の描出が3次元(ないし時間軸を足して4次元)で美しく描出できるようになり、心筋細胞やsheetletのミクロの動きがマクロとどのように関連しているかという議論が活発にされていました。また、DTIで得られる心筋線維の情報とDENSE法で得られるstrainの情報を組み合わせた、より高度なdyssynchronyの評価方法の開発も進んでいるようで、非常に興味深く感じました。

  一方、先天心領域の演題も活発でした。その割合は年々増えてきているようで、今回は演題全体のほぼ1/6を先天心が占めておりました。ACHD患者の増加に伴い更に増え、かなりmajorな領域に成長していくと思われます。CHDの世界は、どの領域でも成人心疾患に対して開発された最新の技術が数年遅れで取り入れられることが多いのですが、CMRの世界もやはり同じで、例えばFontanのセッションではFeature tracking/tissue trackingによる心筋strain解析や、4D flowやシミュレーション技術を用いたhepatic factorの左右肺への分布とpulmonary AV fistulaの関連の解析など、新技術と日常臨床が即直結するような内容が非常に充実しておりました。また、Fontan以外でも、T1 mappingによるECV評価をCHDの右室に応用した発表や、DTIによる内臓逆位心の線維走行の検討などの発表が既に見られており、将来の臨床応用が待たれます。また、live demonstrationではASDに対するMRIガイド下カテーテルが紹介されました。カテーテル先端のバルーンを目印にリアルタイムMRI画像を参照にしてカテーテルを進めるというもので、心内構造物や血管の走行を確認しながらカテ操作ができる点が大変魅力的に感じました。

 以上、学会報告ということで最新のtopicsについて書き連ねましたが、実際には、pre-conference courseの読影のコツのレクチャーや、technologist向けの撮像法のレクチャーなどが一番勉強になった、というのが本音です。また、学会に参加して世界や日本のトップレベルの先生方と交流を深めることができたのは大変貴重な経験でしたし、非常にアットホームで笑いの絶えない和やかな雰囲気に包まれた5日間でした。

 欧米では、CHD診療においてCMRは既に必要不可欠な存在となっていますが、日本ではまだまだ普及が十分と言えず、今後の普及が急務と思われます。私もMRIをはじめたばかりですが、続けて多くの先生が携わるよう祈っています。 来年のSCMRはバルセロナで開催の予定です。来年は、今年以上に多くの先生方(特に小児科医!)とともに参加できますよう願っています。

  

会場となったGaylord National Harbor Hotel                  日本人メンバーと